広島は16日、大リーグ移籍を目指す鈴木誠也外野手（27）のポスティングシステム（入札制度）申請を承認したことを発表しました。これで、鈴木誠也選手のメジャー移籍は濃厚になったと考えてもいいでしょう。当ブログでも残留か？移籍か？と考察しましたが、やはりメジャー移籍で決着するようです。
ファンとしては寂しい気持ちもありますが、ポスティング成立となればカープ初の日本人野手メジャーリーガー誕生となりますので、メジャーでの大活躍を期待したいですね。
ちなみに、今回はポスティング移籍で大瀬良投手のFA権とは違います。【カープ】大瀬良投手・九里投手が取得したFA権とは？現在のカープFA権保有者まとめも！
過去には、カープの菊池選手、巨人の菅野選手がポスティング申請するものの成立せず残留となったケースもあるので、メジャー移籍が確実になったわけではありません。
しかし、やはりメジャーへ移籍すると思いますので、今回はそんな鈴木誠也選手のカープでの活躍をまとめたいと思います！鈴木誠也選手への思いが溢れすぎて長くなってしまったので、今回は鈴木誠也選手がブレークするまでの活躍を記します。
プロ入り前
プロ志望届提出者ニュース(高校生編) 二松学舎大付・鈴木誠也 提出！ | 高校野球ドットコム (hb-nippon.com)
鈴木誠也選手が野球を始めたのは小学2年生の時です。荒川リトルで野球を始め、中学時代には荒川シニアに所属していました。
野球熱心なお父さんのもとで野球の練習に取り組んでいた鈴木誠也選手は、お父さんとのその練習姿から「平成のリアル巨人の星」とも呼ばれていたようで、11歳の時にはテレビ番組「出没！アド街ック天国」に出演したというのも有名なお話ですね。
高校は東京の二松学舍大学附属高校へ進学し、投手として1年時の秋からエースの座を確保します。打撃では高校通算43本塁打を放つなど関東地区では有名な選手になっていました。しかし、高校在学中は春夏ともに甲子園への出場は叶いませんでした。
ドラフト2位でカープへ入団
カープの“現在”を形成したドラフトは？2012年編～球団史に残る“不動の4番”獲得のウラ側～｜carp｜コラム｜広島アスリートマガジン (hiroshima-athlete.com)
2012年度のドラフト会議において、鈴木誠也選手はカープからドラフト2位で指名され入団が決まります。この時、カープは将来のショートのレギュラーになる逸材として現阪神の北條選手か鈴木誠也選手のどちらを指名するかで迷っていました。
北條選手は甲子園へ出場し、4本塁打を放った一方、鈴木誠也選手は甲子園へは未出場。これだけを聞くと、我々素人は北條選手を優先して指名すべきだと思うでしょう。しかし、担当スカウトの尾形スカウトだけは「鈴木誠也選手の方が潜在能力は上」と信じて疑いませんでした。
そんな尾形スカウトの後押しもあり、広島は鈴木誠也選手をドラフト2位で獲得することに成功しました。
北條の評価には誰も異論はなかった。スカウト部長から「鈴木は4位相当」という判断がくだされていたのだが、この評価の違いはどうしても揺るがせなかった。
それでも、尾形は譲らなかった。北條がいい選手であることを認めた上で、鈴木誠也の方が潜在能力は上回ることをプレゼンした。
「誠也の評価は4位だったから北條と比較されるのはきつかったです。甲子園で活躍していましたから。うちは自分の担当のところだけをみればいいんですけど、自分が獲りたい選手に関しては、推したい選手がどれだけの素材なのかの説得材料をいえるかが勝負なんです。スカウト会議には社長や常務も入るんで、必死でした。実績は北條の方がありますけど、でも、身体能力は誠也です、と。僕が魅力的にみえた走っている姿の映像もいいところばかりを切り取って見せたりもしました」
尾形は必死に食らいつき、話を大袈裟にいうことも少なくなかった。だが、このとき、やや盛った鈴木の評価は、蓋を開けてみれば正解だったのである。その後の鈴木誠也は「4位の選手」の評価を見事に覆している。
尾形はスカウト会議で、こう強く言ったそうだ。
「4位じゃ絶対に取れない選手です」
カープスカウト“鬼のプレゼン”「4位じゃ絶対取れません」 無名だった鈴木誠也、ドラフト2位のウラ側（3／3） – ドラフト会議 | プロ野球 – Number Web – ナンバー (bunshun.jp)
やはりスカウトの方の目はすごいですね！尾形スカウトの大ファインプレーと言ってもいいでしょう！
鈴木誠也選手の原点の試合がここに＜1～2年目・2013～2014年＞
「あのとき練習しておけば良かったって思いたくない」プロ1年目の鈴木誠也が語ったプロ野球の壁。｜carp｜連載｜広島アスリートマガジン (hiroshima-athlete.com)
プロ入り1年目、鈴木誠也選手は早速一軍デビューを果たします。9月14日にプロ入り後初めての出場選手登録を果たすと、巨人とのカード初戦（MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島）7回裏に代打で一軍デビュー。広島の高卒新人野手で一軍昇格を果たしたのは、1999年の東出コーチ（来季から一軍野手総合コーチ）以来でした。さらに、9月16日の同カード第3戦4回裏の適時打で、一軍初安打・初打点を記録します。
チーム状況が違うとはいえ、小園選手は高卒新人野手でとして一軍でもホームランを放っていましたので、今後鈴木誠也選手のような大物になることが期待できますね
迎えた2年目、9月25日の対東京ヤクルトスワローズ戦（明治神宮野球場）に「1番・右翼手」として先発出場すると、1回表の第1打席に先頭打者としてプロ入り初本塁打を放ちます。さらに、その後の打席でも3安打を打ったことで、プロ入り後初めて猛打賞を達成しました。
この年はわずか36試合の出場で68打席のみではありますが、打率.344、出塁率.382、OPS.882と各指標で好成績をおさめます。
そして見出しにも書いた鈴木誠也選手の原点となる試合は2014年のクライマックスシリーズ（CS）です。この年シーズン3位に終わった広島は、CSからの逆転日本一を目指していました。
初戦をエース前田健太で落として後がなくなったカープ。第２戦の阪神の先発は左腕の能見投手（現・オリックス）、ここで当時の野村監督はレギュラーシーズンでの先発がわずか９試合でまだ高卒２年目の鈴木誠也選手を「７番・ライト」で先発起用します。
そしてターニングポイントとなる打席がきます。２打席凡退で迎えた第３打席目、スコアは０－０で７回１アウト満塁の場面で鈴木誠也選手の打席を迎えます。ここで、広島ベンチには若い鈴木誠也選手に代打を出すという策もありましたが、野村監督は動かずそのまま鈴木誠也選手を打席へ向かわせます。
これはこの年限りで退任が決まっていた野村監督からの「将来、広島の主軸になれ」といった無言のメッセージでした。
いくら鈴木誠也選手とは言えど、この時まだ高卒2年目の選手、技術も精神力もまだ未熟でした。初球のボール球に手を出すと、3球目のチェンジアップを引っかけて3塁ゴロ。本塁がフォースアウトとなり得点になりませんでした。
最終的にこの試合でカープは1得点もできず、０－０の引き分けとなりCS敗退が決まりました。この試合の最大のチャンスは、7回の鈴木誠也選手の打席だったのです。
この年のオフ、鈴木選手はあの舞台で打つため、頭のなかに能見投手の姿を描きながらひたすらバットを振りました。この試合が「練習の鬼」鈴木誠也選手を誕生させた試合になったのかもしれません。
併殺崩れでも外野フライでも１点を取れる状況だった。レギュラーシーズンでは得点圏でも、高卒２年目とは思えぬ落ち着きを見せていた鈴木だったが、CSの舞台は特別だった。高ぶる気持ちとは裏腹に、技術も精神力もまだまだ未熟だった。
鈴木誠也が「練習の鬼」になったきっかけ。未熟さを突かれた屈辱の一戦 (2020年6月22日) – エキサイトニュース(2/2) (excite.co.jp)
負けが許されないCSのチャンスで託された鈴木誠也選手への期待の大きさがうかがえます。この悔しさがあったからこそ今の鈴木誠也選手がいるのでしょうね。
1番打者として期待された3年目<2015年>
3年目の2015年、緒方新監督の下新井選手や黒田投手の復帰もあり広島中が「今年こそは優勝ができる！」といったムードに包まれていました。鈴木誠也選手はこの年、公式戦の開幕前にポジション登録を内野手から外野手へ変更します。（2年目にはサードとして1軍出場がありました）
この年は緒方監督の中には「1番・鈴木誠也」といったプランがありました。そして、ヤクルトとの開幕戦では1番・ライトとしてスタメン出場します。このシーズンで鈴木選手には1番として定着することが期待されましたが、思うような結果を残すことが出来ず、最終的には97試合の出場に留まり成績も打率.275、本塁打5、打点25、出塁率.335、OPS.746と期待値を下回る成績になりました。（高卒3年目にしては立派ですが・・・！）
チームもこの年は4位と最終的にCSを逃す形となり、多くのファンが失望したシーズンとなりました。この年のオフ、鈴木誠也選手は当時ソフトバンクに所属していた内川聖一選手（現ヤクルト）の下で自主トレーニングを実施します。
この内川選手との自主トレも2016年の鈴木誠也選手の覚醒に繋がっています。内川選手との自主トレの模様はこちらの記事をごらんください。
「神ってる」で全国区に！＜2016年＞
21歳の鈴木誠也が起こした奇跡。全てを変えた運命の3試合連続決勝弾。｜carp｜連載｜広島アスリートマガジン(2/3) (hiroshima-athlete.com)
2015年シーズンで悔しい思いをした鈴木誠也選手でしたが、2016年春季キャンプ終盤の怪我の影響で、一軍復帰は公式戦開幕直後の4月5日まで持ち越されます。
4月26日には対ヤクルト戦で2016年シーズン第一号を放ちます。鈴木誠也選手の前後の5番エルドレッド選手、7番堂林も本塁打を打ったことから、これが一軍公式戦におけるチーム11年ぶりの3者連続本塁打となりました。
しかし、 キャンプ終盤の離脱によるブランクと怪我による感覚のずれから思うような結果が出ません。スコアボードに映される２割台半ばの打率が目に入れば、無意識に力みに繋がります。
四六時中、野球のことが頭から離れず寮にバットを持ち変えることも珍しくなかったようです。
そんな中、交流戦で転機が訪れます。それは、皆さんご存知のオリックス戦ではなく、その2週間前に行われた6月5日のソフトバンク戦です。6月3，4日のソフトバンク戦はスタメンから外れた鈴木誠也選手。この2試合で、ベンチから見える一人の打者に釘付けになります。
それは、この年の1月に合同自主トレを実施した内川選手（上述参考）です。真正面から内川選手の打席を見ることで「テイクバックを取った時に軸足にためができても、グリップの位置が変わっていない」ことがわかったようです。
直後の5日のソフトバンク戦、ステップ幅を狭めた鈴木選手は5打数5安打の固め打ち。この活躍をきっかけに鈴木選手はライトの定位置を奪います。そして、この2週間後に皆さんご存知の「神ってる」鈴木誠也が誕生するのです。
「神ってる」オリックス戦前のソフトバンク戦が覚醒のきっかけだったということはあまり知られていないのではないでしょうか。それにしても5打数5安打はすごすぎます！
6月17日のオリックス戦、同点で迎えた12回裏に比嘉投手から第8号のサヨナラツーランホームランを放ちます。翌6月18日の同オリックス戦では3-1と2点ビハインドで迎えた9回裏、オリックスの守護神平野投手からサヨナラ逆転スリーランホームランを放ち、2試合連続のサヨナラ勝利に貢献します。さらに、6月19日には8回裏に山崎福投手から勝ち越しとなるソロホームランを放ちます。これが3試合連続の決勝弾となり、このインパクトの大きさで鈴木誠也は一気に全国区のスター選手となります。
ちなみに、「神ってる」と緒方監督が発したのは第2戦目の6月18日の試合後です。「神ってる」はこの年のユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれました。
－神懸かってましたね
緒方監督 そういうこと。いまどきの言葉で言うなら「神ってる」よな。言葉では表現のしようがない。
「神ってる」が生まれたあの日…緒方監督の一問一答 – 芸能 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
この試合をきっかけに一気にスター街道を歩み始めた鈴木選手、交流戦期間中はセリーグの規定到達選手で最高の打率（.344）を記録し、交流戦の優秀選手に選ばれます。さらに、オールスターにも監督推薦で選出されると第2戦目は2安打1打点という活躍で敢闘賞を受賞し、人気はさらに急上昇します。
その後、7月は打率.372、5本塁打、22打点、8月も打率.359、７本塁打の好成績を残した鈴木選手は、カープの躍進劇に大きく貢献します。特に、7月22日阪神戦からの9試合で記録した12安打のうち11安打（2本塁打）が打点付きで12打点を荒稼ぎしたのは立派です。
出典：2016 広島カープ 栄光への軌跡 絶対優勝特別号 58ページ
そして、カープが25年ぶりの優勝を決めた9月10日の対巨人戦（東京ドーム）では4回表の第2打席から2打席連続本塁打を打って、広島の逆転勝利と25年ぶりのセ・リーグ優勝決定に貢献します。
終わってみればこの年は、129試合に出場し、打率.335（リーグ2位）、チームトップの29本塁打、95打点、16盗塁、長打率.612と申し分のない成績を残します。
日本シリーズでは打率.222、0本塁打、2打点と不完全燃焼におわってしまいますが、日本シリーズ終了後には、この年のゴールデングラブ賞とベストナインを初めて受賞します。
この年から鈴木誠也伝説が始まったといってもいいでしょう。
オフには年俸も1700万➡6000万円と4300万円の大幅アップを勝ち取っています。
この年から鈴木誠也選手は毎年のように我々カープファンに成長した姿をみせてくれるようになりましたね！
2016日本シリーズでは同級生の大谷選手と対戦
鈴木誠也選手の同級生でもあり、メジャーの先輩でもある大谷選手。メジャーで鈴木誠也選手との対戦を楽しみにしているとの発言もありました。
広島の同学年の鈴木誠について、エンゼルス・大谷は前日の会見で「実際に対戦する機会があれば楽しみ。やってみたいなと思う」と笑顔で話していた。
大谷翔平 メジャー挑戦、広島・誠也に会見で「同級生ですし応援しています」（スポニチアネックス） – Yahoo!ニュース
実はこの二人、すでに日本の大舞台で対戦経験があるんです。2016年の日本シリーズ第1戦、日本ハムの先発が大谷選手で、鈴木誠也選手は5番ライトでスタメン出場しています。
対戦成績は3打席対戦し、1四球2三振と大谷選手に軍配。鈴木誠也選手は悔しかったかもしれません。ただ、この試合の先制点は鈴木誠也選手のホームスチールでの得点だったので、鈴木選手は大谷選手攻略に一役買ったと言えるでしょう。
貴重な鈴木誠也と大谷選手の記事もありました！
メジャーリーグでの二人の対戦に注目ですね！ABEMAならメジャーリーグの中継も一部見れるので、二人の対戦の放送もあると思います！
「神ってる」鈴木誠也選手の誕生までまとめ
2016年に鈴木誠也選手がブレークするまでにきっかけを与えた出来事をまとめたいと思います。
【2012年】
・尾形スカウトの一押しでカープへの入団が決まる
【2014年】
・CS第2戦目、7回表1死満塁の場面で代打を送られず、凡退。チームはCS敗退。
【2015年】
・1番打者としてブレークを期待されるも、思うような成績は残せず。
・オフに内川選手との合同自主トレを実施
【2016年】
・ベンチから見たソフトバンク戦➡最終戦で5打数5安打の大活躍
・広島の選手では1996年以来となる3試合連続決勝本塁打を放つ
・優勝が決まった試合で2打席連続ホームランの大活躍
これらの出来事一つ一つが積み重なって、今の鈴木誠也選手があると考えると感慨深いものがありますね。
次回の記事では、全国区となった鈴木誠也選手がさらなる高みへと成長する流れを記載しようと思います！ぜひお楽しみに！
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