2022年のセリーグ分析第三弾です。これまでは、ヤクルト・阪神の戦力分析を行いました。まだご覧になられていない方はそちらもぜひご覧ください。
昨シーズンは負け越しながらもAクラス入りを果たした読売ジャイアンツ。今季も球団最長の16年目となる原監督が指揮します。
今季のカープ戦を楽しむうえでも他球団の分析は欠かせません!今回の巨人の分析を踏まえてぜひ試合観戦を楽しみましょう!
昨年のカープVS巨人
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まずは昨年度のカープと巨人の対戦成績を確認しましょう。
昨年は巨人に対して12勝12敗1分と五分の戦績でした。昨シーズンの対巨人はシーズン終盤の激しいCS進出争いが印象的ですね。惜しくもカープはCS進出を逃しましたが、CSが絶望的な状況からかなり追い詰めていたと思います。(巨人の自滅による部分も大きいですが・・・)
今季カープが上位にいくためには、ヤクルト・阪神と同様に昨年のAクラスの巨人相手にも貯金を作る必要があります。三連覇中は巨人戦の戦績が非常に良かったので、あの頃のようにまた貯金を作ってほしいですね。
巨人の2021年の成績は61勝62敗20分、カープの2021年シーズン成績は63勝68敗12分でした。
今年の巨人の戦力は?
それでは2022年の巨人の戦力を分析していきましょう。
まずは、昨シーズンから今シーズンにかけての主な退団選手・新加入選手をまとめてみました。
【巨人の主な退団選手】
- サンチェス投手
- 大竹投手
- 野上投手
- 陽岱鋼外野手
- 亀井外野手
- ハイネマン外野手
- スモーク内野手
- テームズ外野手
【巨人の主な新入団選手】
- アンドリース投手
- 大勢投手(ドラフト1位)
- 山田龍聖投手(ドラフト2位)
- 赤星投手(ドラフト3位)
- ポランコ外野手
- ウォーカー外野手
昨シーズンから今シーズンにかけて、巨人は多くの中堅~ベテラン選手が退団しました。巨人一筋の亀井選手の引退やカープからかつてFA移籍した大竹投手が引退し、今季からはコーチとなっています。
また、昨シーズンの巨人は助っ人野手が軒並み不発だったことが痛手でした。期待されてていたスモーク選手はシーズン途中に退団、テームズ選手は一軍出場1試合目で大けがをし退団となりました。急遽獲得したハイネマン選手も体調不良が原因で10試合の出場にとどまっています。
そんな助っ人野手に関して今季は新たに2選手を獲得しています。一人はメジャー通算96本塁打のポランコ外野手です。メジャーリーグで2016年に22本塁打、2018年に23本塁打を放った実績があります。ホームランを打てるだけでなくメジャー通算98盗塁と走れる点も魅力の選手です。
昨年もメジャーリーグで107試合に出場し、打率.208、11本塁打36打点の成績を残しています。昨年もメジャーリーグで100試合以上出場しているので、バリバリのメジャーリーガーとも言えるかもしれません。他球団にとっては非常に脅威的な選手になる可能性が高いです。ただ、フリースインガーで三振が多い点やサウスポーが苦手といった欠点もあるようなので、攻略方法はあるかと思います。【巨人】ポランコ来日 原監督は「もちろん5番でというのはある」と期待、早期の実戦出場を示唆:中日スポーツ・東京中日スポーツ (chunichi.co.jp)
もう一人のウォーカー外野手は異色の経歴をもつ助っ人で、2018年から昨シーズンまでアメリカの独立リーグでプレーしていた選手で、昨季は米独立リーグで2年連続となるMVPに選出されています。米独立リーグのレベルは正確には分かりませんが、NPBのレベルよりは低いと思います。なので、正直ウォーカー選手は未知数と言っていいでしょう。
投手の新助っ人アンドリース投手はメジャー7年間で217登板、28勝37敗の実績の持ち主です。2021年シーズンもメジャーで34試合に登板していますが、防御率5.21と奮わなかったようです。しかし、48.1イニングで50奪三振を奪うなど奪三振力の高さが売りの投手かもしれません。この奪三振能力を活かして中継ぎとして起用する可能性もありますが、先発として起用する見込みのようです。【巨人】巨人新助っ人アンドリースに過度の期待は禁物 「そこそこ」がメジャー28勝右腕の実力|野球|日刊ゲンダイDIGITAL (nikkan-gendai.com)
ドラフト3位の赤星投手は大卒の即戦力としての活躍が期待されています。オープン戦の横浜戦でも好投し、開幕ローテ入りも十分に考えられるようです。最速152キロのストレートとカットボール、ツーシーム、カーブ、スライダーといった多彩な変化球が武器の本格派右腕です。巨人3位赤星優志“桑田カーブ”で3回0封、開幕ローテへ名乗り 原監督「余裕が出てきた感じ」 – プロ野球 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
ドラフト1位の大勢投手も大卒の即戦力の中継ぎ投手となるかもしれません。最速は157キロを投げる右腕です。投球フォームも特徴的で、サイドスロー気味のスリークォーターから力強いボールを投げます。OP戦のデビュー戦でも150キロ中盤のストレートを連発していました。1年目から中継ぎとして活躍する可能性が高い選手かもしれません。巨人D1位・大勢、衝撃155キロデビュー!1回3人斬り 原監督絶賛!先発ローテ争いに堂々名乗り – サンスポ (sanspo.com)
ドラフト2位の山田投手も大卒の即戦力左腕投手として期待されています。最速153キロのストレートにスライダー、フォークを混ぜる本格派左腕です。山田投手も1年目から十分に一軍で通用する可能性があります。起用法は不明ですが、先発でも中継ぎでもいけるのではないでしょうか。巨人ドラ2・山田「落ち着いて投げることができました」 OP戦初登板はわずか1球 源田を左飛に― スポニチ Sponichi Annex 野球
新戦力を整理したところで、投手・野手のそれぞれを分析していきましょう!
投手編:先発ローテーションは不透明?
昨シーズンの先発防御率はリーグ4位の3.79だった巨人。今年の先発陣もまだ不安要素があるようです。
巨人の先発ローテーションではエースの菅野投手、山口投手、メルセデス投手がローテ入りすることは濃厚でしょう。3投手とも好投手ではありますが、昨シーズンの防御率は菅野投手が3.19、山口投手は3.56、メルセデス投手は3.77とそこまで良い成績ではありません。
その他の候補として戸郷投手や高橋投手がいますが、二人ともキャンプで振るわず二軍降格となっているため開幕ローテーション入りは厳しいでしょう。そのため、新人の赤星投手や2年目の山崎投手、今村投手、堀田投手が候補になってくると思います。この中だと堀田投手が今キャンプでの評価が高いようで、OP戦でも好投をしたりカープOBの新井さんが絶賛するなど、今季ブレイクの可能性が大いにあるかと思います。
このように、現時点では巨人もローテーションを確定させることはできておらず、確定している三投手も圧倒的なピッチングができるか分からない状況です。堀田選手などフレッシュなローテーション候補もいますが、まだ一軍の実績もないため先発陣にはやや不安が残るのではないでしょうか。
投手編:中継ぎは助っ人2投手を中心に勝ちパは安定か?
昨年の救援陣防御率はセリーグ3位の3.49だった巨人、今年も勝ちパターンは安定していると予想されます。
ビエイラ投手、デラロサ投手の両助っ人投手に加え、サウスポーの中川投手もいます。この3人が勝ちパターンになるのではないでしょうか。この中ではスライダーが武器の左腕中川投手が最も安定しています。デラロサ投手とビエイラ投手160キロ近いストレートを投げることができるなど、厄介な相手になります。
勝ちパターン以外の投手にも鍵谷投手や大江投手、高梨投手といった中継ぎ投手もいます。高梨投手と大江投手は左のワンポイントとして非常に嫌な相手です。特に高梨投手は大きく曲がるスライダーが武器で昨年の対左の被打率が.195と今年も左キラーとして活躍するのではないでしょうか。
このように、中継ぎ陣は勝ちパターンも安定しそれ以外の投手もある程度計算できると思われます。ここにドラフト1位の大勢投手も加わることが予想されるので、中継ぎの層は厚いと言えるでしょう。
打者編:破壊力のある打線になるか
昨年はセリーグ1位の169本塁打を記録した巨人ですが、今年も破壊力のある打線になることが予想されます。
昨年の本塁打王岡本選手を中心に坂本選手、丸選手といった20本塁打は期待できる選手もいます。他にもウィーラー選手や中田選手など実績のある選手もいるので、今年もホームランは多くなる思います。ここにポランコ選手も加わるので、ポランコ選手が日本野球に適応したら恐ろしい打線になります。本拠地の東京ドームも狭い球場でホームランが出やすいので、他球団は一発攻勢を警戒しないといけません。
ただ、昨年のチーム打率はセリーグ5位の.242と低くなっています。昨シーズンの巨人チーム内トップ打率は松原選手の.274でした。この打率の低さが本塁打1位にも関わらず、リーグ4位の552得点という結果につながっているかもしれません。
今年はこのチーム打率が上がるかが巨人の課題になるかもしれません。昨シーズンは坂本選手や丸選手の打率がそれぞれ.271と.265で低かったように思うので、この二人が本来の調子を取り戻せばチーム打率も上がってかなり脅威的な打線になると思います。ただ、二人ともここ3年で打率が低下する一方なので、今年も打率が下がるといったことも考えられるかもしれません。
巨人の打線が脅威的な打線になるかどうかは、坂本選手と丸選手にかかっていると言えるでしょう。この二人が昨年と同様の調子であれば、得点数も伸びないと思いますし、打率が上がればリーグ屈指の打線にもなると思います。
打者編:代打の層は豊富
巨人は外野の層が豊富です。丸選手、松原選手、ポランコ選手、ウィーラー選手、梶谷選手と5人も候補選手がいます。それぞれある程度の実績もある選手なので、全員を休み休み使うといった選択肢も出てきます。
また、この中の二人が代打に控えることになるので代打陣にも要注意かもしれません。
また、捕手でも大城選手と岸田選手がいます。岸田選手も今年バッティングが良いとの意見もよくみかけますし、大城選手は元より打撃がそこそこいい選手です。この2選手のうちいずれかが交代選手としてベンチにいるということでさらに代打陣の層は厚くなります。巨人・岸田 正捕手へ5年目の決意「このまま終わってしまうという気持ちで」― スポニチ Sponichi Annex 野球
巨人の攻略ポイントは?
カープがAクラスに進出するためには、昨年CSを争った巨人を倒す必要があります。
それでは、どのようにしたら巨人に勝てるか、個人的に攻略ポイントをまとめてみました。
先発を攻略する
先発が不透明で中継ぎがそこそこ安定しているチームなので、先発を攻略する必要があります。エース菅野投手の攻略は難しいかもしれませんが、メルセデス投手相手にも苦手意識はありませんし、山口投手もそこまでいやなイメージはありません。
勝ちパターンを出されると厄介な相手なので、先発相手に点を取り、逃げ切るといった形が巨人戦の攻略方法になるでしょう。
巨人を得意としていた3連覇時代も序盤から猛攻をしかけるといった試合も多々あったので、メンバーは大幅に変わっていますがあの頃のような速攻をしかけてほしいと思います。
西川選手の前にランナーをためる!
対巨人戦で言えば西川選手が非常に相性が良くキーマンとなります。
エース菅野投手相手には通算で.379、3本塁打とよく打っています。その他、中川投手相手に.385、ビエイラ投手相手に.667と勝ちパターンも苦手にしていない選手です。そのため、西川選手の前にいかにランナーをためられるかがカギになります。
ランナーをためた状態で西川選手に回せば、巨人戦では得点に至る可能性がより高くなると思うので、西川選手にチャンスで回るような打順の組み方なども重要になるかもしれません。
不用意にランナーを出さない
これはヤクルトの攻略ポイントにも上げましたが、巨人はホームランの多いチームなので無駄なランナーを出さずにホームランによる失点数を減らすことが重要になります。無駄なランナーといえばやはり”四球”です。佐々岡監督も常々言っていますが、今季はこの四球を出さないことが重要になります。
また、昨年の打率が低いチームなので連打を打たれないようにしたいところです。カープの先発陣も4投手は安定しているので、連打を避ける能力はあると思います。
ホームランは必ず出る打線なので、できるだけソロホームランとなるように特に強打者の前にはランナーを溜めないように注意しないといけません。(どこのチーム相手にも言えますが巨人相手には特に重要になるでしょう)
監督16年目の原監督も不気味
最後に巨人といえば原監督も脅威になります。
今年で16年目となるので実績と経験は球界ナンバー1です。時折、奇策もしかけてくるので警戒する必要があります。奇策を仕掛けられてもこちら側は普段通りの野球をすればいいだけですね。
去年の終盤は中4,5日のローテーションを形成し、失敗するなど近年は采配が上手くいかない場面も見えるようになってきたので、もしかしたら原監督の采配に付け入るスキがでてくることもあるかもしれません。
佐々岡監督も3年目となるので、原巨人相手に初の勝ち越しとしてほしいですね。
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